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モナ・リザのモデルが誰であったのかはわかっていません。
初めこの絵は「ヴェールをかぶったフィレンツェの娼婦」と呼ばれていましたが、
50年ほど後にレオナルドの生涯を『美術家列伝』に記したジョルジョ・ヴァザーリが
この絵について『モナ・リザ』と記し、それが広まって今の名が定着しました。
モナは婦人、リザはエリザベッタの愛称。
ヴァザーリはこの女性がフィレンツェの富豪、
フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻であるとも記しています。
イタリア語、フランス語の名称 La
Gioconda はジョコンド婦人という意味です。
ヴァザーリのこの記述を元に、美術史の研究者たちの多くはこの絵のモデルは
フランチェスコ・デル・ジョコンドの3番目の妻である
エリザベッタ・デル・ジョコンダであると考えています。
が、一方、レオナルドは通常、描く絵について大量のスケッチやメモを残しているが、
この肖像画については晩年まで離さず持ち続けていたにもかかわらず、
何の記録も残していません。
(もっとも、レオナルドのノートはその3分の2が失われており記録が無い確証はありません)
かわりに
「フィレンツェの貴婦人の役目は、偉大なジュリアーノ・デ・メディチの死と共に終わった」
とだけ述ベており、依頼主がジュリアーノ・デ・メディチであり、
肖像がフィレンツェの貴婦人(あるいは愛人ともとれる)であること以外は
彼の言葉からはわかりません。
デル・ジョコンドは実在の裕福な人物であり、
当時フィレンツェの中で政治的にも権威を持っていました。
しかし、その妻であるエリザベッタ、本名リザ・ゲラルディーニについては
ほとんど何もわかっていません。
1479年に生まれ、1495年にデル・ジョコンドと結婚したことはわかっているが、
それがレオナルドの言った「貴婦人」かどうかの確証はありません。
絵を描いた1503年当時、エリザベッタは24歳であり、
描かれている人物はもっと年齢が高く見えますよね。
さらに、デル・ジョコンドの妻と書き記したヴァザーリは1511年の生れであり、
レオナルドにもエリザベッタにも会ったことがなかったのです。
また「モナ・リザ」を実際に見たことすら疑われており、
ヴァザーリの記述には疑問点がかなり多いのも事実です。
そのため、モデルと言われている人物は他にも候補がいます。
●レオナルド自身の言葉から、当時ジュリアーノ・デ・メディチの愛人であった
ナポリ公妃コスタンツァ・ダヴァロス。
ただし1503年当時45歳と年齢が高く、年齢的には合いません。
これにはレオナルドが嘘をついたとする説があります。
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● 年齢が絵と近く、同じ構図の油絵『アラゴンのイザベラの肖像』がある
ミラノ公妃イサベラ・ダラゴーナ。
『アラゴンのイザベラの肖像』はスイスで個人が所有しており、
詳細はよくわかっていません。
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●レオナルドのデッサン「イザベラ・デステの肖像」に残っているものと
容姿が一致するマントヴァ侯爵夫人イザベラ・デステ。
このデッサンは横顔であるが衣装、顔、体型がモナ・リザに書かれている女性と
非常によく似ています。
しかしレオナルドの手によるデッサンであるかどうかについては
議論があります。
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●マグダラのマリア(イエスの妻ではないかといわれている人物)
ではないかと言う説 |
この5名が主に挙げられるものの、いずれも確証はありません。
更に、後の無名の投稿がさらに混乱を引き起こしました。
この肖像画はフランチェスコ・デル・ジョコンド、
つまりこの絵は元々男性の肖像画である、という議論を生んだのです。
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また、ベル研究所のリリアン・シュワルツ博士は、
モナ・リザはレオナルドの自画像である、
という見解を出しました。
彼女のこの理論は
レオナルドの自画像であると言われている絵と、
モナ・リザの顔の特徴を
デジタル解析した結果に基づいています。
モナ・リザとレオナルドの自画像と言われている絵を
コンピューターを用いて合成すると、
顔の特徴がほぼ完璧に一致します。
しかし同じ画家が描いた絵であれば
癖や好みなどから特徴が似通った絵となることも多く、
レオナルド自身の
「全ての肖像画は画家自身の自画像に通じる」
という言葉を裏付けた結果を
うんだものとも見なせます。
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なお、一般的な肖像画にはその描かれた人物が誰であるかを
暗示するモチーフがふんだんに盛り込まれる傾向にありました。
| @服装・・・その人物の階級、裕福さ、時代が反映される。 |
A背景・・・その人物の住まい、生まれ、場合によっては階級など。
又、名前を暗示した植物なども描かれる。 |
| B髪型・・・その人物の職業や時代を表す。 |
モナリザに当てはめると、服装は誰もが着ると思われる喪服のような物であり、
背景にその人が誰であるかを示す暗示も無く、
髪型にも薄いヴェールがかけられており、特定の個人を示す暗示が殆ど得られません。
結局、現在まで500年以上モデルが確定していないことが一つのミステリーでもあり、
この絵に対する興味、この絵の魅力を増す要因の一つに挙げる意見もあります。
他方で、絵画においてモデルが誰であるかはほとんど意味がない、という見解もあります。
写真ならばモデルが誰であるかは重要だが、
絵画ならばモデルよりも画家の筆致が重要だからだそうです。
同じモデルでも画家が異なればまったく別の絵画となります。
モナリザがすばらしいのは、モデルがすばらしいからではなく、
ダビンチの筆致がすばらしいから。
この絵画が傑作であることに関して、
モデルの意味はあまり重要ではないといえるのも、またしかりですね。
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